人生の学び

海外ボランティアがわかる本|途上国の子どもに学ぶ一生懸命生きる意味


DVD付 最も大切なボランティアは、自分自身が一生懸命に生きること

なお
元青年海外協力隊。チェコ、韓国、タイなどでボランティア経験があります。海外ボランティアの本質がわかる素晴らしい本をご紹介します。

こんな人におすすめ

海外ボランティアについて

・興味がある、行ってみたい

・参加する意味を知りたい

・そこで得られる経験や考えを知りたい

・海外に行かなくてもできることを知りたい

目次

池間哲郎氏について

著者の池間哲郎氏は、アジアチャイルドサポートという認定NPO法人の代表理事です。

映像制作会社の経営者でありカメラマンであった池間氏は、出張で訪れた台湾で山岳民族の貧困と人身売買問題の現実を知ります。

それ以来、会社経営のかたわらアジア各国のスラム街やゴミ捨て場などの貧困地域を訪ね、個人で支援活動をするようになりました。

1995年からは、自身が撮影した映像・写真を使って講演や写真展を開催し、アジア途上国の貧困地域に生きる人々の姿を通して、一生懸命に生きることの大切さ・感謝の心・命の尊さを見つめ直そうと伝えています。

1999年にNPO法人を立ち上げ、2014年に認定NPO法人として認可されたアジアチャイルドサポートでは、人身売買の犠牲になった女の子たちのシェルター、子どもたちが学べる学校、清潔な水が飲める井戸を作るなど、アジアの子どもたちをサポートする様々な支援事業を行っています。

アジアチャイルドサポート

アジアチャイルドサポート公式ホームページ

『最も大切なボランティアは、自分自身が一生懸命に生きること』の本にも、池間氏自身が見てきたネパールの人身売買、モンゴルのマンホールチルドレン、フィリピンのゴミ捨て場で生きている子どもたちなど、アジアの貧困と差別の実態が書かれています。

カメラマンでもある池間氏が現状を収めた16分のDVDもついていて、よりリアルに実態を知ることができます

知ることも大切なボランティア

様々な途上国を訪れている著者は、時々子どもたちに「あなたの夢はなに?」と聞くそうです。

すると、ある子どもは「大人になるまで生きること」と答え、またある子は「一度でいいからお腹いっぱいになるまで食べてみたい」と答えました。

そして、別の子はしばらく考えた後「夢はありません、生きるだけで精一杯なんです」と言ったそうです。

 

今、自分の周りを見回すとあらゆるものがそろっていて、毎日お腹いっぱいにごはんを食べています。それでも、まだ何かが足りないと思ったり、不平不満を感じることもあります。

この子どもたちの置かれた現状と夢を知って、自分自身が恥ずかしくなる思いがしました。

でも、著者はそれも大切なボランティアなんだと言います。

「知ることも大切なボランティア」だと。

同じアジアの国にクラス人々でさえも、毎日、貧しさのために多くの命が奪われています。失われる命のほとんどは子どもです。アジアだけではありません。日本人のように豊かな国で暮らしている人々は、ごくわずかです。途上国の現実を、懸命に生き抜いている人々のことを知ってください。知ることも大切なボランティアです。
引用元:『最も大切なボランティアは、自分自身が一生懸命に生きること』


少しだけ分けること

著者は、現状を知ったら、それで終わるのではなく行動してほしいと言っています。

私は海外ボランティアが好きで、これまでもあちこちの活動に参加してきました。少なくとも行動はしてきたほうです。

でも、特に医療や福祉の技術があるわけではないので、ほんのお手伝い。「貢献」という観点からみると、この程度のことしかできなくてすみません…というような思いもありました。

でも、この本には「少しだけ分けること」も大切なボランティアだと書かれています。

100%の愛はいりません。ほんのちょっと1%だけでいいのです。(中略)
やさしい心を、ほんの少しだけ、一生懸命に生きている人々、子どもたちにわけてください。
引用元:『最も大切なボランティアは、自分自身が一生懸命に生きること』

ボランティアは自己犠牲ではありません。また、やってあげるものでもありません。自分がしたいからするし、自分も楽しいからする。そういうシンプルな行動でいいのです。

自分のできる範囲のことをするのがボランティア。そういう、ほんの少しの行動の積み重ねが、ほんの少し状況を変えることに繋がります


自分自身が一生懸命に生きること

「自分自身が一生懸命に生きること」

著者は、これが最も大切なボランティアだと言っています。

暑い中、ゴミ捨て場で真っ黒になって一日中ごみを拾っている男の子。その姿は、かわいそうなものです。

でも、一生懸命に生きようとしている姿でもあります。小さな子どもが自分の命と、そして家族の命をつなぐために必死に働いているのです。

著者は、そんな子どもたちの姿を見ると、お金も環境もこの子たちとは比べられないぐらい恵まれている自分は、何をしているのか命も時間も、少しも無駄にすることはできないと強く思わされるそうです。

 

最近はニュースを見ていると、自分の命や他人の命を大切にできない事件が増えていることを実感します。その人たちなりの深い苦しみや悩みがあったのだろうとは思うものの、命を奪うことや奪われることには悲しみと憤りを感じます。

広い世界に目を転じれば、もっと深い苦しみや悩みがあることを知ることができるのに、自分の身近な課題しか見えていないのではないかと思います。

アジアのあちこちで、世界中で、多くの子どもたちが自分たちの命を精一杯生きようとしている姿を知れば、自分の命も、他人の命ももっと大切にできるのではないかと思います。

心から尊敬すること

懸命に生き抜く人々の精神的なものは、豊かさの中で暮らしている日本人よりも、はるかに高いものがあると私は感じています。(中略)「なぜ、これほどまでに苦しい中で笑顔が出てくるのか」と感動します。国際協力の基本は、その土地の人々を心から尊敬することです。
引用元:『最も大切なボランティアは、自分自身が一生懸命に生きること』

「その土地の人を心から尊敬すること」

これがボランティアの大前提です。ボランティアは何かをしてあげることではありません。

私も実際に活動していて、むしろ自分のほうが学ばせてもらうことが多いというのが実感です。

以前、タイの児童養護施設でボランティアをしたとき、手も足も不自由な若者に出会いました。

(タイでの活動の様子)

彼は座ることも立つこともできないので、リヤカーのような乗り物に横たわり、鉛筆も口で加えて使います。

一見、何もできないように見えますが、彼は他の施設の子どもたちにとても慕われているようで、いつも数人の子どもたちに囲まれていました。

彼が絵を描く手伝いをすると、サポートが不慣れな私を気遣って「Ok,OK!」「Thank you!」と言葉をかけてくれました。それ以上の会話はできなくてもすぐに彼のやさしさが伝わってきました。

人は、何かができるかできないかではなくて、いかに人を思いやる気持ちが持てるかどうかなんだと教えてもらった気がしました。

海外ボランティアに限ったことではなく、ボランティアは人と人が互いに学び合い、支え合う場なのではないかと思います。


さいごに

『最も大切なボランティアは、自分自身が一生懸命に生きること』は、アジアの発展途上国の子どもたちの厳しい現実が紹介されている本です。

でも、読み終えた後に、辛く悲しい気持ちになるのではなく、むしろ勇気が湧いてきます。それは、子どもたちのたくましさもしっかり伝わってくるからです。

そして、その子どもたちに何ができるか。その答えは、実はシンプルなのです。

  • 知ること
  • 少しだけ分けること
  • 自分自身が一生懸命に生きること
  • 心から尊敬すること

海外に行かなくても、身近なこと、身近な人に対してできることはたくさんあります。できることをできる範囲でする。それが国際協力の本質であり、その積み重ねが世界を救うのだと思います。

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