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仕事を辞めてしまったことへの後悔、キャリアを積んでいる同年代への憧れや妬み。でも、もう50代だから無理だというあきらめ。
でも、この本を読んで目の前が開けました。
専業主婦から62歳で外資系ホテルの日本法人社長になった薄井シンシアさんの本です。
・ワークライフバランスはいらない
・自分の限界を知る
・好きなことはなくていい
・過去には振り回されない
一般的に言われていることは逆のように感じますが、それこそが50代主婦の背中を押す重要なキーワードでした。50代主婦で、自分を惨めで情けないと感じている人は、ぜひ読んでみてください。
こんな人におすすめ 50代主婦で
・そんな自分が惨めな人
・気持ちがモヤモヤしている人
・もう無理だと自分をあきらめている人
・惨めで情けなくて悔しい気持ちを打開したい人
目次
50代主婦におすすめの本『人生は、もっと、自分で決めていい』
『人生は、もっと、自分で決めていい』の中で、特に印象的だったのは以下の四つ。目から鱗が落ちたような気分で悶々とした気持ちがさっと晴れました。
・ワークライフバランスはいらない
・自分の限界を知る
・好きなことはなくていい
・過去には振り回されない
順番に引用しながら紹介したいと思いますが、著者である薄井シンシアさんがどんな人生を歩んできたのかを知ることで、よりリアリティをもって受け止められるので簡単に紹介しておきます。
著者:薄井シンシアさんとは
薄井シンシアさんは1959年にフィリピンで生まれ、日本の大学に留学。卒業後は貿易会社に就職したものの、結婚と出産を機に退職。その後、約20年間専業主婦として暮らし二人の子どもを育てました。
子どもが成長した47歳のとき、カフェテリアのパートにつきます。しかし、その後も夫の海外赴任に帯同するなどしていたため、52歳で電話受付のアルバイトをしたり、コロナの影響で失業して61歳でスーパーのレジ係のアルバイトをしたりと仕事を転々としています。
でも、その間ずっと「考え抜いて決断し実行する」という小さな積み重ねで自分を動かし続け、62歳で外資系ホテルの日本法人社長に就任しました。
『人生は、もっと、自分で決めていい』の中には薄井さんのキャリア年表があり、それを見るともっといろいろなことがあったことがわかります。
専業主婦がホテルの社長にまでなったという人生はちょっと信じがたく、薄井シンシアさんは特別な人だったのではないかと思ってしまいますが、そうではありません。
フィリピン出身のため英語ができるという強みはありますが、逆に日本語は第二外国語。ご自身でも「英語は得意で日本語は少し苦手なバイリンガル」とおっしゃっています。
また、英語ができたからと言って、それだけでホテルの社長になれるでしょうか。薄井シンシアさんには特別な才能や知識や技術があったというわけではありません。
あったのは「考え方」です。その考え方を紹介していきます。
ワークライフバランスはいらない
ワークライフバランスは大事とよく言いますよね。そして、ワークライフバランスを大切にするために、仕事をやめて家事と育児に専念したり、キャリアをあきらめてパートタイムの仕事に変わったりする女性も多いのではないでしょうか。
ワークライフバランス――この言葉には、ワークとライフのどちらも取りこぼすまいと、必死でバランスを取りながら、細い平均台の上を歩いているイメージがないでしょうか。
(中略)
少なくとも、不器用な私には無理だった。だから、私はきっぱり諦めました。ワークライフバランスなんていらないと。
出典:『人生は、もっと、自分で決めていい』p16
ワークとライフの両方をがんばってイライラ、セカセカしてしまうワーキングマザー。私もそんな一人でした。そして、私も両立は無理だと諦めてフルタイムの仕事を辞めたのですが、辞めた後でずっと後悔が残っていました。
薄井シンシアさんには後悔はなかったのかと読み進めると、こう書いてありました。
仕事を諦めたわけでも、生活をないがしろにしたわけでもありません。「同時期に育児と仕事を両立させること」を諦めたのです。1日とか1週間といった短いスパンでワークとライフのバランスを取ることをやめた。そのかわり、一生の中で帳尻を合わせればいい、と考えたのです。
出典:『人生は、もっと、自分で決めていい』p17
なるほど!ワークライフバランスと言うと、ワークとライフの両立のイメージしかありませんでしたが、今はライフ、数年後はワークのように人生の中でワークライフバランスを取るという考え方もあるというわけです。
確かにそう考えると、両立できない自分の不器用さを悔しがることもないし、本当はもっと仕事をしたかったのにとキャリアをすべて諦める必要もありません。
人生は100年。人生が長くなったこの時代だからこそ「一生の中でワークとライフのバランスを取る」という考え方はとても大切だと思いました。
自分の限界を知る
とは言っても、子どもが成長した後で「ワーク」をしたいと思っても、できる仕事なんかないのではと思うかもしれませんね。
確かに、若い時と違って40代や50代になってからの就職活動は容易ではありません。でも、薄井さんは47歳で仕事を始めています。
その時に大切にしたことが、「自分の限界を知る」こと。
「自分の限界を知る」にはネガティブな印象を受けるかもしれませんが、薄井さんの考えはポジティブです。
自分の限界をしっかり受け止めた上で冷静に判断し選ぶこと。可能性だけを追っていると、すべての可能性に選択肢を残したままでの選択になるので、他を捨てることができないからです。
出典:『人生は、もっと、自分で決めていい』p147
あれもできるし、これもできるのではないかという可能性ばかりを探していると、迷いが広がるばかり。そして、決断する時にはいくつかの可能性を捨てなければなりません。そうすると、あっちのほうが良かったんじゃないか、本当にこれで良かったのかと後悔が生じてしまいます。
だから、むしろ「自分にはこれしかできない」「もうこれしかない」ぐらいになったほうが、決断がしやすいし、後悔のしようもないと薄井さんは考えたのです。
20代や30代のような若い時であれば、たくさんの選択肢があってもいいかもしれません。そして、後悔してやり直してもいいかもしれません。でも、50代にはそこまでの時間もないし、エネルギーも足りません。
だから、むしろ自分の限界や弱みに着目して、その自分にできる最善を探して動く。そのほうが効率的に仕事を見つけることができるということです。
自分の人生を自分で決断し、動かしたいなら、夢を見ている場合じゃない。しっかり現実を見つめなければ、と思うのです。
出典:『人生は、もっと、自分で決めていい』p85
好きなことはなくていい
薄井シンシアさんは、「好きなことはなくていい」とも言っています。これも一般的に言われていることとは、逆ではないでしょうか。「好きなことを仕事にしよう」とよく言いますよね。
「好きこそものの上手なれ」という言葉も私にはなんだかしっくりきません。好きなことは、放っておいてもやりたくなるから上手になる。そこには一つもチャレンジがない気がするからです。苦手なことや嫌いなこと、初めてのことに取り組むからチャレンジングなのではないか。例えば、私は嫌いなことや苦手なことをやり遂げると、すごく自信がつくんです。それは、自分の「弱み」を克服できた、と感じるからです。
出典:『人生は、もっと、自分で決めていい』p84
自分の好きなことはなんだろう、やりたいことはなんだろうと考えている間にどんどん時間は過ぎていきます。だったら、なんでもやってみる、チャレンジしてみる。
そうしているうちに出来ることが増えたり、意外と自分はこれが好きかもということが見付かったりしていきます。
過去には振り回されない
ある程度仕事の経験があって、家庭のためにキャリアを諦めた人は、「自分にはもっとできたはずなのに」という思いが残っているかもしれません。そして、40代、50代で見つけたパートの仕事には納得がいかないかもしれません。
薄井シンシアさんも何度か仕事を変わる中で、前の仕事の経験が活かせたらいいのにと思っていたそうです。でも、それに執着し過ぎると、次の仕事へのチャンスはつかめなかっただろうと振り返っています。
過去の実績にしがみつかなかったから、過去の経験を荷物にしないで済んだ。悔しさはもちろんあります。でも、振り返ると、まっさらな自分に戻ってスタートすることで次につなげることができたのだと思います。
出典:『人生は、もっと、自分で決めていい』p78
過去の経験にプライドを持ちすぎると、それが足を引っ張ってしまう場合もあります。人生後半で新しく築き上げるキャリアは、まっすぐ上に積み重ねていく必要はありません。いろいろな経験をして、横に広げていくキャリアでもいいんです。
上に高く積み上げようとすると専業主婦の経験や育児経験はキャリアに入れにくいのですが、キャリアを横に広げるんだと考えれば、人生経験のすべてを入れることができます。
過去の経験を荷物にするのではなく、土台の一つとして考えることが人生後半からのキャリア形成の秘訣なのです。
まとめ
50代で専業主婦の自分はダメだ、惨めだと思っている人におすすめの本『人生は、もっと、自分で決めていい』をご紹介しました。ポイントは以下の四つ。
・ワークライフバランスはいらない
・自分の限界を知る
・好きなことはなくていい
・過去には振り回されない
考え方のベクトルを少し変えるだけで、もやもやとした悩みが解消されていきますよ。最後にもう一つ、薄井シンシアさんからのメッセージを送ります。
何しろ人生は長い。動ける時期が来たらいつでもそこからスタートすればいい。始発に乗り遅れても、特急に乗れなくても、いつか電車を乗り換えればいいのです。いくらでも乗り換えられますから。自分の弱みを把握できてさえいれば、人生が拓けるチャンスを現実的なタイミングで自分の手でつかみ取ることができると思います。
出典:『人生は、もっと、自分で決めていい』p73